上の兄が無事に戻り、久々に家族五人が揃って食卓を囲んだ。
今回、戦争終結を機に砂との間に同盟条約が結ばれたと聞いたが、漫画で裏切られていたことを思い出すと平和って難しいと思った。あれはまあ、大蛇丸のせいだけど。
その大蛇丸はまだ里にいる。姿を見かけたことはないが、やはり木ノ葉の中でもかなり有名な忍者らしく噂だけは聞く。良い噂もあれば悪い噂もあるが、今のところ抜け忍にはなっていないようだ。
大蛇丸と同期のエロ仙人こと自来也様は見ていないが、実は紅一点の綱手様は一回だけうちの店に買い物に来ていたことがある。接客をしたら「オススメ全部買ってやるよ」とにっこり笑って頭を撫でてくれた。胸が大きくてついガン見してしまった。
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戦争が終わり、長年争っていた他国と条約を結び、ようやく訪れた平和に里は少しずつ活気を取り戻していく。ここから暫く戦争が起きないと良い。
そんなことを思いながらアカデミーから帰ると母におつかいを頼まれた。母からお金と買い物用の袋を受け取って商店街へ向かう途中、下の兄と出会い、一緒に買い物に行くことになった。荷物を持ってくれるらしい。有り難いが、コイツ中忍のくせに相変わらず働いてないのか、といつも忙しそうにしている上の兄とついつい比べてしまう。
「お菓子買ってやるよ」
「本当に?」
ま、いっか。
お菓子と聞いて彼の仕事事情についてこれ以上深く考えないことにした。我ながらなんて単純。流石子供。精神年齢は立派な大人のはずが、長いこと子供扱いされてきたせいか家族の前では年相応の子供っぽさが出てくるようになった。何買ってもらおうかな。
ご機嫌で歩いていると横に並んでいた兄が何かに気が付いたようで「あ」と声を出した。兄の視線を追うと向かいから一人の少年が歩いてきて、此方に気が付くと彼もまた「お」と声を出した。
「よォ、久しぶりだな。お前またサボってんのか」
近くまで来ると彼は兄に向かって明るく声を掛けてきた。兄と同じくらいの年頃で茶色い髪を肩の上で切り揃えている少年は、口にくわえた千本を揺らしながら呆れた様子で「火影様が困るだろ?」と言う。
「サボってねぇよ、今は休憩中。息抜きは大切だからな。ゲンマ君こそちゃんと仕事してますか〜?」
「バーカ、お前よりかしてるよ」
ふざけた調子で兄が返すとゲンマと呼ばれたその人は、くつくつと笑って言った。
なんだか親しげな様子にひょっとしなくても友達かと首を傾げる。するとゲンマという人が私の存在に気が付き、ぱちっと目があった。彼は私を見て何度か目を瞬かせると口を開く。
「妹?」
「そ、今アカデミー生。俺に憧れて忍者目指してんだぜ」
おい、ホラ吹くな。
と思ったが、このあとお菓子を買ってもらう予定なので口には出さなかった。ゲンマさんに「こんにちは」と言ってペコリと頭を下げておく。彼はまた目をぱちぱちと瞬かせた。
「お前に憧れて、じゃなくてお前の兄貴の間違いじゃねぇの?」
「はぁ?言うじゃねーかコラ、ええ?」
そう言って兄がゲンマさんにヘッドロックをかける。これ男子高校生のノリだ。
そのまま二人は暫くじゃれあって私にはよくわからない近況話を始めてしまったので、仕方なく兄を置いて一人で商店街へ向かった。あんまり遅いと母が困ってしまう。お菓子は諦めよう。
それから数週間後、とても良いニュースが舞い込んだ。キクくんに妹が生まれたのだ。
普段は私の家や外で一緒に遊んだり、修行をしていて、久しく彼のお母さんには会っていなかったので妊娠していたことすら知らなかった私は正直物凄く驚いた。
キクくんに連れられて久々に彼のお家へ行き、産まれたばかりの赤ちゃんを見せてもらう。自分に妹が出来たことが余程嬉しいのかキクくんは誇らしげに妹の名前を教えてくれた。
「テンテンって名前なんですよ」
「へぇ」
この間まで甘えん坊だったのに、すっかりお兄ちゃんの顔になったキクくんに私も彼の母も笑う。すやすや眠る赤ちゃんを見てさらに笑みを深くした。
テンテン、テンテンちゃんね。私の将来の義理妹ね。うん…………ねぇ、もしかしてこの子お団子頭になったりする?
