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鳴り響くチャイムの音を教室内で聞く。
睡眠不足という不規則な生活を強いられながらも、現段階で遅刻はしたことがないのだ。
何気ないが小さな自慢でもある。
もちろん誰かに言えるようなことではないのだが。

今のが我が校で本鈴の10分前に流れる予鈴。
加えて、我がクラスの担任は、遅刻した生徒には厳しい割りに、自身はわりかし朝のホームルームに遅れてくるのである。
ホームルームが始まるまで15分、といった
か。

「竜宮はさ、聖杯戦争って知ってるか?」

大人しく自席で座って待っていると、隣から声がする。友人の向山伸二だ。

それにしても、ーー聖杯戦争。
何とも物騒な名前だ。
しかし、どうにも不思議な感覚が拭えないわけで、知らないはずなのに頭のどこかに引っかかる名前だった。

「……いや、聞いたことがないな。戦争なんて言葉、伸二が使うとは思わなかったが」
「いや、俺も最近偶然知ったんだけどな。どうやら、“お宝”を巡って選ばれた人間が競い合う、ゲームのようなものらしい」

ゲーム、その単語にピリッとした感覚を覚えたのは何故だろう。よくわからないことはそのままにしておくのが自分の悪い癖、と岸浪によく言われたものだが、そのまま伸二に続きを促す。

「ネットサーフィンで偶然見つけたんだよ。スマホの方でブックマークしてあるんだ。お前にも送ってやるから見てみろよ」

伸二は心なしか声色が興奮している。
こういう、お宝とか競争とか、好きなやつだったっけ、などとぼんやり考えていると、メールでURLが送られてきた。
いつも通りであれば担任の藤村先生が到着するまでまだ10分はある。
気にならなくもなかったので、相変わらず饒舌なままの伸二の言葉に耳を傾けながら、そのページを開いてみた。

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