これからも傍に
珍しく早起きしたうさみくんと朝食を食べてご馳走様をした後、片付けをしている私の隣に来たうさみくんが、食器を拭くのを手伝ってくれながらぽつりと呟く。
「ひなさんのご飯毎日食いたい」
「? 食べてるじゃん」
「これからもずっと」
「ふふ、何それ、プロポーズみたい」
美味しかったって言いたかっただけなんだろうけど、そんなこと言われると勘違いしちゃうよ、なんて思いながら食器洗いを続けていると「あのさ」とうさみくん。
「朝も昼も夜も、ひなさんのご飯食べたいし、いってらっしゃいも、ただいまも、おやすみもおはようも、全部、毎日ひなさんに言いたい」
「どしたの? 急に」
食器を洗い終わって、手を拭いて、うさみくんの方を見上げると、真剣な顔をしたうさみくんがそこには居て、思わず、えっ、と声が出てしまう。最後のお皿を拭き終わったうさみくんが、キッチンタオルを食器にかぶせて、私の方を向く。
「あの、さ」
「うん」
「……結婚、したい」
真っ直ぐこっちを向いて呟くうさみくん。うさみくんは結婚なんて言わないと思ってた。だって、ヒーローしてる限り、いつ死ぬかわかんないから、結婚は出来ないかも、とか、言ってたじゃん。それなのに、なんで、そんな、急に……
「おれさ、なんか思ったより欲張りだったみたい。ひなさんの人生を俺なんかで縛りたくなくて、だから結婚なんて俺がヒーローしてる限り、誰ともしないって言うか、できないと思ってたんだけど、毎日ひなさんと一緒に過ごしてて、これが一生続けばいいなって思っちゃってさ……なんか、言ってることめちゃくちゃなんだけど、その、ずっと一緒に居たいんだ、ひなさんと」
うさみくんが私の手に触れる。ぎゅ、と優しく握ってくれる温かい手は少し汗ばんでて、ちょっと震えてる。
「だから、ひなさん……俺と、結婚してください」
ぽたぽたと涙がこぼれる。あぁ、こんな事あるんだ。
「わたしで、いいの……?」
「ひなさんがいい」
「……見る目無さすぎ」
「俺にとってはすっげー良い女なの」
「あははっ」
「ね、ひなさん、俺と結婚しよ」
「うん、する……っわ」
腕を引かれてぎゅっと抱き締められる。うさみくんの心臓はドクンドクンと大きな音を立ててて、壊れちゃうんじゃないかってくらい。
「っは〜〜〜〜〜、よかった……嫌って言われたら、泣くとこだった」
「嫌なんて言う訳ないじゃん」
「わかんないじゃん、俺、結婚しないって前言ってたし」
「ふふ、言ってたね」
「ひなさんのせいで欲張りになっちゃった」
「また人のせいにする」
「……ね、ひなさん」
「なぁに?」
「リト、って呼んでよ」
「…………りと、くん」
「ははっ、変な感じする」
「もう呼ばない」
「ダメだよ、これからはひなさんも宇佐美なんだから」
そう言って、抱きしめる力を緩めて、私の顔を覗いて、ふにゃりと笑う。
「愛してるよ、ひなさん」
「……わたしも、りとくんのこと、愛してるよ」
こんな幸せ、合っていいのかな、なんて思いながら、二人見つめあって、触れるだけのキスをした。