これから始まる日々

あれから、おれは10歳若返っただけでなく異世界にトリップしていたことが分かった。
看護婦のお姉さんにどこから来たのか聞かれたとき、話が噛み合わなかったのだ。
なんだグランドラインってイーストブルーって。日本海は?太平洋は?
世界地図なるものも見せてもらった。全然違った。
マジか。
とりあえず不審がられないような態度を示しながら俺の故郷…帰るところが無いことを伝える。お姉さんはすっっっごく申し訳なさそうな顔をして「ごめんなさい」と言った。
こっちこそごめんなさい。でもうまく勘違いしてくれた様だ。
今後のおれの行く末はどうなったかって?
同じ病室で知り合った髭の人と少年はゼフさんとサンジくんというらしい。あと彼は10歳だとか。おれの2つ下か…。
彼らは袋いっぱいの宝をつかって海上レストランを開くらしい。おれは今後のことを聞かれて行く当てがないと言った。ゼフさんは人手は多い方がいい、おれたちと来るか?そういってくれた。おれは2人について行くことにした。

「すげーなクソジジイ!これが海上レストランか‼」

目の前には魚を模したような大きな船。
サンジくん同様におれもキラキラした目をそれに向ける。

「そうさ、宝全部つぎ込んでも赤字だった。これから忙しくなるぜ‼」
「大丈夫さ!おれがいるんだ!!」
「おれもいるよ!」

三人で出来上がった船を見つめた。これから始まる日々に心をおどらせながら。

「つーか、ミズキ。お前料理はできんのか?」

サンジくんがジト目でみてくる。

「ここに来る前は料理の勉強をしてたんだ、問題ねえよ」

おれは料理の専門学校に通っていた学生だったのだ。過去形なのは卒業したから。
就職先も決まって春休みと呼べる期間を使って旅行に来ていたところでこの様である。
夢というものはなかったけれど、施設で育ったおれは沢山の血の繋がらない家族に囲まれていた。手伝って、おいしいと言いながら笑顔で食べる家族の姿が好きだった。
次第におれがご飯を作ったり、誕生日やクリスマスなんかはおれがケーキやご馳走を作ったりもした。

「なら、問題ねえな」
「サンジくんより役に立つかもな〜なんて」
「なにを〜?!」


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