後輩

「ねえ桜子ー今日のご飯はホットケーキがいいー。」
「ホットケーキって夜ご飯にならないでしょ。」
「夜ご飯に…ならないね。明日の朝はダメなの?」
「ええーマジでー…」
「ベーコンエッグ付きのしょっぱいのと甘いデザート系の2本立ては?燈子ちゃん、それならどう?私も手伝うし!」
「………」
「マッシュポテト付き。」
「交渉成立!」
「え、そんな食べて大丈夫?」
「大丈夫だって!他控えるし。」


最初に会ったときの印象を彼等に聞けば"概ねテレビで見る通りだ"、そう答えるだろう。そう、あれはTRIGGER結成を決意した翌日。社長室で待機しているとノックの後に女の子が3人楽しそうに入ってきた。それがTRIGGERと彼女達の出会い。


「…あれ…社長?」
「若くなりました?」
「いや、別人でしょう。どう見ても。」
「貴女達は…」
「事務所のスタッフか?」
「「「……」」」

「やっぱりまだまだかぁ…」
「あははっ!何年売れなかったと思ってるの、私達。」
「一応、私達は八乙女事務所に所属してるタレントです。」
「えっ!!」
「やっぱり!可愛い女の子が入ってきたなって思ったよ。」
「スタッフとか言い出す失礼な人もいたけどね。」
「おい!あの…悪かったな。」
「あ、お気になさらず!売れてない私達がいけないんですから…」
「いやいやそんなテンションで言われたら逆にお気にするわ。すいませんねぇ、うちのセンターわりと気にしいなんで。」
「騒がしくてごめんなさい。無視してくれて大丈夫です。」


センター、その言葉に天は彼女達も自分と同じアイドルなのだと確信した。タレントだと彼女達は言っていたけど…
もしかしたら、彼女達もいつかあのブラホワで対峙する日がくるかもしれない。


「揃っているな。」
「あ、社長!」
「社長!遅刻、遅刻ですよ!この影武者さんがいたからって言い訳はなしですよ。」
「急に呼び出したりして…私達何かやらかしました?」
「いや、一応紹介しておこうと思ったんだ。これからはお前達だけに構っていられなくなるからな。」


その瞬間、3人を纏う空気が変わった。

社長の言葉に目の前にいる人間が自分達と同じものだと確信したのだ。同じものである以上、いつかはどこかでぶつかる存在なのだと。彼女達は薄々気づいていたようだが、社長の言葉でそれがゆるぎないものになった。


「ここまで仕上げてくださったんです。それで十分です。」
「うんうん、こっからは自分達でやれます。」
「彼らに集中してあげてください。八乙女事務所でJAIMAの女性アイドル部門、男性アイドル部門を独占するもの楽しそうです!」
「アイドル部門…?」
「そうだ。彼女達は今年デビューしたアイドルグループ"INFERNO"だ。お前達の先輩といったところか。」

「はいはーい、私はセンターでもリーダーでもないただのメンバー!九楽燈子ちゃんでーす。」
「えええー…そんなこと言われたら自己紹介しにくいよ…」
「私はINFERNOのリーダーやってます。八雲桜子。」
「わ、私は一応センター任されてます!十朱奏子です。」
「「「よろしく、TRIGGERさん。」」」
「よろしくお願いします!」

「俺達のこと知ってたのかよ…」
「完全に警戒されてたからね。そうだろうとは思ったけど。」


楽しそうに話す龍とINFERNOを見て、天はため息をつく。

何となく、何となく彼女達が嘘っぽく感じたからだ。その笑顔も、態度も、言葉も。

どうか、面倒なことになりませんように。