学校
「「あ。」」
「わー!一織君と環君!」
「…マジか。」
むしろ何故今まで会わなかったのかと一織は頭を抱えた。
目の前には自分と同じ学校の制服を着ているMIRRORの刹那壱加と忽那四季。つい先日の自分達の初ライブを見に来ていた人達だ。そもそも、壱加にいたってはフライヤーを手渡ししているというのに。
「へー、壱加達も同じ学校だったんだ。」
「芸能活動しやすいからね!」
「ねえ、何で一緒にお昼食べてんの。」
「知りませんよ。四葉さんと刹那さんで勝手に決めてしまったんですから。」
「いおりんは嫌だなって思っても環についてるんだね。偉い偉い。」
「ちょっと頭を撫でないでください!」
「怒んなくてもいいじゃーん。」
ぷくぅと頬を膨らませる四季に一織は呆れたようにため息をつく。こんな人が巷で人気のアイドルだなんて。あの出会いから一織はMIRRORのことを調べていた。
星影事務所のアイドルグループ。今年デビューしたばかりとはいえ、それぞれ別のジャンルで既に芸能界で活躍していた人しかいない。アイドルとしては新人とはいえ、以前七重が言っていたように芸能界というくくりで見れば先輩だ。までデビューすらしていない自分達とは天と地との差がある。
「いおりん!壱加の弁当めっちゃうまい…!」
「はあ、そうですか。」
「七重が作ってくれたんだよー。一織君も食べる?」
「別にいら…」
ずいっと差し出されたお弁当を見て一織は絶句する。流石先代うたのおねえさんが作っただけはある。そこにはかわいらしいキャラ弁があった。
「いおりん?大丈夫か?」
「そうだよね…男子が食べるにはちょっと可愛すぎるよね…」
「見た目は男子には抵抗あるかもしれないけど、七重ちゃんのお弁当はマジで美味しいから食べたほう方がいいよー?」
「そ、そこまで言うなら仕方ありませんね…!」
「いや別に無理して食べなくても…」
「いいえ!頂きます!これも勉強ですから。」
「何の?家庭科?」
「うるさい人だな。」
「むっかー!」
うるさいとはなーにーと抗議する四季を無視して、一織は恐る恐るうさぎを模した卵焼きを口に入れる。うさぎさんごめんなさいと心の中で謝罪したのも束の間、出汁と卵の優しい風味が口いっぱいに広がる。
自慢の卵焼きを味わう一織を見て壱加はにっこりと笑った。