「名前様ー!」
「左近ちゃんどうしたの」
「お二人がここ半年ほどずっと別々の部屋で眠られてると聞きまして」
「あー、まあ、そうね」

どうにかなりませんかね、士気に関わるんすよ。と、絶賛大喧嘩中の私の旦那である三成の部下、島左近から困り顔で仲直りを頼まれてしまった。

「みんな優しいから私達がギクシャクしてると不安よねえ」
「そうっす。そういうことっす。今晩は三成様の部屋で寝るんすよ。いいっすね?」

はいはい、と適当に返事をし、三成には伝えといてねと頼む。すると左近ちゃんは、びっくりさせたいんで無理っす。と一蹴した。左近ちゃんなんか楽しんでないか。

そして夜が来た。
湯浴みも済ませ、いつ三成が来てもいいように構える。すると、すっ、と襖が開いた。
「三成、こんばんは」
そしてノータイムで閉まった。

「貴様なぜ私の部屋にいる」
「一応私正室ですけど」
「そういう意味ではない!」
「だーかーらー、夜の営みをですね」
「貴様…ッ!私にまたしても恥をかかせる気か!」

実は何を隠そう、三成はまだ童貞である。初夜は三成が緊張でうまく勃たず、穴の位置もわからず狼狽えてるうちに怒ってしまい、部屋を飛び出していったのだ。その後私は泣きながら部屋に戻り、その翌日から今まで何度も何度も、秀吉様、半兵衛様、大谷様や家臣の皆様から「世継ぎはまだか」と聞かれ続けている生活をかれこれ半年は続けている。お前らんとこの石田が私を抱かねーんだよ。世継ぎが出来たらむしろやべえわ。

「思い出させるな!忌々しい…!」

そして当の本人はこの調子である。
さすがの私も堪忍袋の尾が切れ、三成に半年分の怒りをぶちまけた。

「はあ〜〜さっきから下手に出てりゃあ言いたい放題言ってくれちゃって!恥かかされたのはこっちも同じなんですけど?!」
「煩いッ!!斬滅するぞ!!」
「もう!三成は私のこと嫌いなわけ?!」
「貴様のことなど!すっ、す…、好いているに決まっているだろう!!」

なんなんだこいつ。旦那様だけど。本当に何。可愛いの具現化かよ。

「だったらもっとわかりやすく愛してよ!私、三成との子供が欲しい」
「んなっ、はしたない言葉を…」
「子作り…」
「ううううう煩い煩い煩いッッッ!!!」
「ねえ三成」
「…なんだ」
「私達初めてなんだから、ゆっくりやろうよ」

そう言って三成に抱きついた。

「うふふ、半年ぶりの三成だ」
「つまらない意地を張ってすまなかった」
「私もごめん。初夜、今からやり直そう」


「っていい雰囲気だったのに今回は三擦り半でイっちゃったんだけど」
「三成様可愛すぎっすね」
「可愛いけどこんなんもう…」


1人じゃ抱えきれない