ハロウィンネタ


「お菓子をちょうだい」
「えっ」
 す、と差し出された手に困惑していれば、リネットは不思議そうに首を傾げた。
「貴女がお菓子を持ってるって聞いた。ちょうだい」
「あ、あー!トライアル・オア・トリートね、リネット」
「……トライアル・オア・トリート」
 繰り返すリネットに笑みを浮かべながら、どうぞと持っていたお菓子をその手に乗せる。
 受け取った瞬間に、リネットは包みを開けてもぐもぐとその愛らしい口にお菓子を頬張っていく。
「美味しい、これならいくらでも食べられる。ひとつしか貰えないの?」
「え、ま、まだ欲しいの……?」
 こくり、と食べ終えたリネットは期待に満ちた目でこちらを見つめてくる。
「う……じ、じゃあ、あげるね」
「ありがとう」
 嬉しそうに再びお菓子を受け取れば、それも瞬く間に口の中へ消えていく。
 そんな様子を横で見つめていれば、聞きなれた声が遠くから聞こえた。
「こら!リネット、またお菓子をそんなに食べて!」
「これはリネにとっても必要なこと。お菓子ありがとう、それじゃあ」
「え、ちょ、リネット!?」
 向かってくるリネが到着する前に、リネットは颯爽とその場を後にする。
「あ、もう、全く……ごめんね、リネットが迷惑かけたみたいで」
「ううん、そんなことないよ。お祭り用に準備したお菓子、美味しいって言ってもらえたから」
 困ったように謝るリネに、慌てて首を振れば彼は思い出したように手を叩いた。
「あ、そうか。それでリネットの奴、あちこち回ってるんだな……」
 はあ、とため息を零すリネに思わずくすくすと笑えば、途端に不満そうにこちらを見つめる。
「ふふ、お兄ちゃんも大変だね」
「本当にね……ところで、君の用意したお菓子、僕も貰えるのかな」
「もちろん、まだ何個か残って……あれ?」
 用意していたお菓子の包みを渡そうとすれば、ひとつも手元に残っていない事に慌てる。
「あ、あれ?さっきはあったのに……」
「……もしかして、貰えないのかい?」
「えと、ご、ごめん、数を数え間違えたみたいで」
 しゅん、と落ち込むリネに申し訳なさそうにすれば、じゃあ、とリネに手を取られる。
「お菓子の代わりに、君を貰ってもいい?」
「え、と、それは……!」
「駄目?」
 寂しそうな瞳で聞き返すその仕草に、思わずふるふると首を横に振れば途端にふわりと頬に何かが当たる。
「……ふふ、お菓子より甘いかもね」
 こっちはまた今度、と唇に触れた指先に、更に顔の熱は上がって行った。



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