2時間後に後悔した


___こいつは、俺の理性を買い被りすぎてんじゃねえのか。

Tシャツ一枚に下着姿の恋人がソファで寝ていた。抱き枕を抱きしめ、無防備に手足を放り出して。

確かにダニエルに少女趣味はない。どちらかと言えば好みは発育のいい女性だ。だが、目の前に寝ているのは見ず知らずの他人ではない。自身の恋人である。
…わかってねえ分タチが悪ィ。ダニエルは心の中で独りごちた。

小さな身体を見下ろす自分の中の理性を総動員して相手の肩を叩き、努めて平静な声で"風邪をひくぞ"と声を掛ければあきは眠そうな唸り声を上げて抱き枕に擦り寄った。
「やら…」
「やだじゃねえ」
未だスイッチが入らない相手にいつものような溜息を一つ吐き出すと、ダニエルはそっとあきの体を抱き上げた。
あきの口から色気のないん゛ぅ、という声が漏れる。
リビングのソファから寝室のベッドに移動してあきを寝かせる。運ぶのに邪魔だった抱き枕はソファへと置いて来た。自分が枕に嫉妬したわけではないのだが。誰に向けるでもない言い訳をダニエルは内心で誤魔化すように並べ立てる。毛布を掛け、これで十分だとベッドを離れようとしたダニエルの手をあきが引き留めた。
「…あき?」
「…だいすき」
いつもの様に顔を綻ばせたあきが、寝転がったままそっとダニエルを抱き締める。ダニエルはそのまま再度寝息を立て始めた相手の背中を撫で、首筋に顔を埋めて抱き締めると囁くように言葉を吐き出した。
「…愛してる」
今日の夕飯は、少し遅くなりそうだ。