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『お姉ちゃん!聞いて!』
霞「ちょっと紫陽花。
帰ってきて早々騒がしいわよ」


大声を出して姉を呼ぶ紫陽花。
その姿に姉の霞は呆れながらも
なんだか笑みを浮かべた。


『こんな物見つけたの!』


紫陽花が霞にキラリと光るかけらを渡す。


霞「これは…!」
『綺麗でしょ?』
霞「紫陽花、どこで手に入れたの?」


なんだか少し険しい顔の霞。
その様子を見て、
紫陽花は自然と焦ってしまう。


『妖怪の体から見つけたの…』
霞「………そう、」


霞はかけらをギュッと握りしめ、
紫陽花に背を向け歩き出した。


霞「紫陽花、来なさい」
『え、うん…』


霞についていくと、
父と母の墓の前にたどり着く。


霞「紫陽花、よく聞いて。
これは『四魂の玉』という物のかけらよ」
『し…四魂の玉…?』


始めて聞く言葉に戸惑う紫陽花。


霞「そう、不思議な力を秘めている玉。
これを使って強くなろうとする
汚れた心の妖怪や人間もいれば、
心に汚れがない者が
願いを叶えようとしたりするの」
『へえ…便利な物だね』


あまり理解していない様子の紫陽花。
それを見て、霞は呆れ笑いをする。


霞「紫陽花、これは貴方が守りなさい」
『え…?』


紫陽花の手のひらにかけらをそっと置く。


霞「これを狙ってくる者はたくさんいる。
そんな奴等に渡して、力を与えてはだめ。
私達は、かけらを使わず幸せに
暮らしたい水麗族だから」
『じゃあ女王であるお姉ちゃんが
守ればいいんじゃ…!』


霞はニコッと笑い、紫陽花の頭を撫でる。


霞「それは貴方が見つけた物よ。
貴方の宝物でしょ?」
『お姉ちゃん…』
霞「誰にも言わず、大切に持っとくのよ。
大丈夫、それを守れる強さがあるでしょ。
それに、お父様とお母様もきっと
天国で守ってくれるわ」
『…うん、そうだね。ありがとう、お姉ちゃん』


紫陽花もニコッと笑い、
霞の胸へと飛び付いた。

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