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chapter:2





今回の獲物は強敵ではない。ただ一筋縄ではいかず、一言で言えば面倒な敵だった。
いわゆるナイトメアと言われる悪魔。人の夢にとり憑き、生気を奪う。一般的には直接死に至らしめるような力を持ったナイトメアはいないが、宿主に自覚がないことが厄介ではあった。本人も気づかないうちにずるずると生気を吸われ、徐々に眠りが深く長くなる。一度体外に出てくれば狩るのは簡単だが、またそれも難しい、雑魚の割に手間のかかる悪魔だった。

「…日向?」

だからこそ、目の前の大事な人が悪魔に取り憑かれたなど、俺にとってはそれこそ悪夢以外の何ものでもなかった。





「ホーリーウォーターで体から出すのが一番手っ取り早いわよ」

瓶を片手にレディが提案する。ちゃぷりと音を立てる聖水を横目に、俺はもう一度目の前で眠る人物を見つめた。
俺の大切な家族、日向。もう四日も目を覚ましていない。

レディと依頼に向かった俺は、件のナイトメアを探して街中を探索した。結果、一番最悪のケースでナイトメアを発見した。眠り続ける人間はいないかと探したところ、最近姿を見ていないと話に上がったのが、よりによって、どうして日向なんだ。
嫌な予感を抱きつつ日向のアパートメントで呼び鈴を鳴らしても、反応はない。ドアをこじ開け中に入ると寝室で眠る日向の姿。こんな状況じゃなければ喜んでいたところだが、明らかに感じる悪魔の気配に俺は頭を抱えた。

「普通の人間ならダメージを受けることはないでしょう」
「だが今は悪魔の宿主だ。日向の夢とナイトメアが同化してるなら、本人の体にも影響があるかもしれねぇ」
「じゃあどうするのよ。このままだと生気吸い尽くされて死ぬわよ、この人」

同化が進んでいるとしたら、いやすすんでいなくても、どちらにしても日向の体は危険な状況にある。人と魔を別つ術が、閻魔刀があれば、そう思っても仕方がない。追い討ちをかけるように、レディが小さな声で呟く。

「…ダンテ。仮に引き剥がせたとしても…」
「…ああ」

昏睡状態が続くことは、ナイトメアに取り憑かれた人間にはよくあることだ。日向も目を覚まさないかもしれない。それでも、このままおめおめと日向を殺させるわけにはいかない、日向の生気を奪うなんざ、誰の許可を取ってやっているのか。

「ぶっ殺さねぇと気が済まねェ」


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