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chapter:1





「日向、すきだ」

いつも屈託無く伝える彼。その日も買い物の途中フラッと現れたと思ったら、買い物袋を私からひったくって、そのまま家まで運んでくれた。そして家の前でいつもの一言。わたしもお礼を言いつついつもの一言。

「もっといい人いるよ」

なんでだよ、俺は日向がいいのに。
わたしは年上がすきなの。
俺じゃだめか?
ごめんね。

屈託無く、裏表なく素直に伝えてくれる彼。彼が真っ直ぐな恋慕をわたしに伝えてくれるなら、わたしも真っ直ぐに彼に答えなければいけない。期待を持たせないように。

「俺が日向より年上だったら、俺のこと好きになってくれたのか」

今のままでも十分すきだよ、でも今更君のことをそういう目で見ることはできない。ずっと弟のような存在だったダンテ。母のようでもあり姉のようでもあったわたし。昔は甘えん坊だったけれど、悪魔退治を本格的に始めてから、ぐんぐん成長していったダンテ。随分男らしくなった、他の女の子だってきっと彼のことは放っておかないよ。

他の女はいらない、日向。

ぎゅっと手を握られる、そのまま抱きしめられそうになるけれどすっと擦り抜ける。少し悲しそうな顔をしたダンテは納得いかないと続けた。
いい加減、外にいるのは身体が冷える。部屋の中に入ろうと鍵を探していると、またダンテに手を掴まれた。今度はただひたすら見つめられ、なんだか懇願するみたいな視線にわたしも何も言えなくなる、けれど、ちょうど彼の方にもお客さんがきたみたいだ。ダンテと呼ばれてそちらを見れば、オッドアイの女の子。ほら、いい子いるじゃん。
ちっと舌打ち。すぐ行くから待ってろと乱暴に声をかけると、もう一度私に向き直る。昔は私の方が背が高かったのに、今ではダンテを見上げるようになった。ため息をついて、また来る、戸締り気をつけろよ。一度だけ頭を撫でてから、ダンテは歩いて行った。怪我しないでね、気をつけてと後ろから声をかければ手を挙げて答えてくれる。

…寒いな、今日はシチューにしよう。

煮込めば3日くらいしても大丈夫、そうすればダンテが帰ってきてからも食べられるかな。無意識にダンテのことを考えて、それに気づいて苦笑いしてしまった。



「…で?少しは歯応えある相手なんだろうな」」
「結構手強いみたいよ」
「ハッ、そりゃ嬉しいね。名前は?」
「ナイトメア」
「…あ?」
「夢魔よ」



まさかダンテと会えるのが、最後になるなんて。思うはずなかったのだ。


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