ちょっとサイクスっぽいあれ
バン、とけたたましい音を立ててドアを開く。部屋の中央、白いベッドにはぽかんと口を開けてこちらを見つめる女。何かを言おうとする前に、素早くベッドに乗り上げ女の口を塞ぐ。
「むが」
眉間に皺を寄せた女は「離せ」と目で訴えるが気にしない。大した抵抗もしない、焦った様子も見せない。それはそれで結構だ、構うことなく右腕を掴み、裾を捲り上げる。と、聞いたとおり肘から手首まで包帯が巻いてある。
射殺すつもりで睨め付けると、彼女は苦笑いを零した。それが癪に触って、患部を思い切り捻ってやれば、さすがにその顔から笑顔が消えた。
「いたた、いたいよ」
口から手を離せば、かなりの流血しているにしては呑気な声が上がった。傷が開いたのかだらだらと流れる血液、口調は軽いが決してそんな程度の痛みではないはずだ。
「何をしていた」
「任務だって。わたしと彼以外いなかったから駆り出されたの」
「証拠は」
「わたしの言葉信じられない?」
彼女はサイドテーブルに手を伸ばし包帯を取ると、慣れた様子で患部に巻き直し始めた。片手で器用なものだ。睨みつけたままでいると、彼女が名前を呼んだ。
「いいよ、わたしは平気」
するりと頬に滑った手のひらは相変わらず優しくて暖かい。自分の手を重ねればその手の小ささに改めて気づかされる。すまないと俯き繰り返すおれに彼女は何も言わず、ただゆっくりと頬を撫でた。