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「日向、部長が呼んでたぞ」

お昼休みから戻ると隣のデスクの鉢屋に声をかけられた。

「げ」
「げってなんだよ」
「この前怒られたばっかなのに」
「怒られるのは確定なのか」
「だって部長からの呼び出しって大体お説教じゃん」
「思い当たる節があるのか」
「ないけど」
「自覚がないところでやらかしたんだろう」

にやついた顔の鉢屋は無視しつつ、思い当たる節を考える。うーんなんだろう嫌だな鉢屋の言う通りまた何かミスしちゃったのかな。今月何回目だろう。もう入社して大分経った、なのに未だに初歩的なミスしたり失敗したり、わたしはなかなか出世できていない。なんならこの馴れ馴れしい鉢屋は年下後輩だ。この子は同期の中ではかなりの出世頭とも言われてるようだし、わたしなんかと比べるのはそもそも間違いかもしれないんだけど。まあとりあえず、わたしにとって上司に怒られるっていうのは結構よくあることなのだ。
潮江部長は怒ると怖いのだ、この前誤発注したときもまさに鬼のように怒られた。わたしが悪いのは百も承知で、でもまだ若干ダメージひきずっているんだけど、なんて言ってても仕方ない、早く行けよと鉢屋に言われて渋々部長の部屋まで足を運ぶ。

「潮江部長、日向です」

入れ、と中から声がかかる。あれ?あんまり怒気が感じられなかったぞ?お説教ではないのかしら。若干警戒心を解きながら部屋に入ると、想像通り部長の顔はそこまで鬼気迫るものではなかった。

「何かお話があるとか…」

おそるおそる話しかけてみると一つ頷く。それから資料を渡された。なに?これは。

「来月から新プロジェクトを始めるって言ってただろ。他社と共同開発の」
「新しい商品開発のですよね?」
「営業部からはお前と鉢屋を出す」
「え」

新しいプロジェクト?に?わたし?なにそれきいてない。

「お前は入社



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