クロードと5年後


ぎり、と立てられた爪に息が詰まる。この痛みを感じるのも5年ぶりだ。あの時は煩わしさしかなかったこの痛みも、今となっては日向が戻ってきたと、この腕の中にいると実感をもって伝えてくれる。それは幸福に他ならない。
が、日向ははっと息を飲むとシーツを握りしめた。以前爪を立てて怒られたことを覚えているらしい。快楽に翻弄されながら、それでも健気にシーツを掴む日向の様子は…正直、かなりキた。5年前は気がつかなかったそのいじらしさというか、可愛らしさというか。とにかく、愛おしい気持ちでいっぱいになって、刺激を堪えている様子の日向の手を取り、背に回すと驚いたように日向がこっちを見つめた。
「いいよ、大丈夫だから」
そう告げてもでも…と困った顔をする。腰を揺すれば日向の体が跳ね上がった。
「つらい?」
「うう、ん…つらく、ない」
これも言わせているように感じる。震える声と体で、はあはあと苦しそうに呼吸を繰り返している様子は、どうみても大丈夫だな、じゃあ動くぞなんてできる状態ではない。改めて、5年前の俺、最低だな。
「痛かったら言えよ」
こくりと頷いて、日向は目を閉じた。伸ばしきれない腕に、5年前に叱られ続けたことが彼女の中でかなり蓄積されてしまったていたのだとはじめて知った。背に手を回しても控えめに触れるだけで、痛みすら愛おしいなどとすっかりやられてしまった俺はひたすらに彼女を追い詰めた。縋ってほしくて。
できるだけ優しく、激しくならないように、細心の注意を払いながら揺さぶると、とうとう日向の目から涙がこぼれ落ちた。げっと思って慌てて動きを止める。
「悪い。痛かったか?」
「うう、ん…へいき」
「平気って、無理しなくていいから」
「ちがう、の」
「泣いてるだろ」
「うれ、しいの。クロードが、そばに、いてくれて」
「…」
なあ、それ、反則だから。
ぎりぎりと奥歯を噛みしめて、思わず震える自身を戒める。ダメだって、こんな、言葉。いくらなんでも不意打ちが過ぎる。涙をこぼしたまま笑った日向に唇を寄せる。半分食べるみたいにくっついて、離してを繰り返すうちに、だんだん理性なんか無くなってきて。
「あ、あう」
「きもちいい?」
「んっ、きもち、いい…」
「よかった。もっと気持ちよくしてあげる」


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