自分のものじゃないと気が済まない


「え」

腕ごと体を引きずり込まれて。咄嗟に声をあげようとした口は布で塞がれる。

「お前、あいつの女だろ」



「りおう、りおう」
「違うだろう」

涙が溢れる。聞き分けのない子供のようにひたすら名を呼ぶ日向。

「りおう…いや、いやあ」
「名前で呼ぶなと言っている」

そう言っても日向は頑なに名前を呼び続ける。様子がおかしい。

「日向?」
「い、いや、いや、りお、う」

視線が合わない。目に見えない何かを怖がるように、震えながら手を振り回す。いやだと譫言のように叫びながら、それでも名前を呼び続ける。


防衛反応だとようやく気がついて、いてもたってもいられずその体を抱きしめた。

「日向、すまない、ここにいる」
「あ、いや、…りおう、いや、いや」
「日向」

聞こえていないのか、聞こえていても認識できないのか、日向は泣きながらもがく。

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