拘束される彼女
「これなに」
「首輪だ」
「首輪」
言うが早いか、ダンデは慣れた手つきでその首輪をわたしの首に巻き付けた。明らかに愛玩用。人間につけるものじゃない。
「外れないよ」
「当然だろ?首輪なんだから」
「なんでわたしに首輪するの?」
「どこにも行かないように」
「どこにも行かないよ。ダンデを置いてどこに行こうっていうの」
そう問い掛ければ、ダンデは顔を赤くして口元を手で隠した。照れてる暇があったら外して欲しい。ぐいぐい引っ張っても外れる気配はない。ただ締めるものじゃなくて、ちゃんと鍵がついているらしい。
「なあ、今日はそれをつけたまま、ダメか?」
「苦しい」
「君を支配しているみたいで興奮する」
今更じゃん、と言おうとしたけど調子に乗るだけだから黙った。まだ満足していないらしいダンデは後ろを向いて紙袋をがさがさやっている。あ、鍵。手を伸ばすとひょいと避けられる。くそー。
「手癖が悪いな」
「外してよ」
「そういう悪い手は捕まえちゃうぜ」
言うや否や手を掴まれて手錠をかけられた。子供騙しのものではなく、しっかり真鍮性。繊細な模様がすごい…って違う違う。どんどん変態っぷりが加速していくダンデに強めに抗議する。
「ちょっと、やめて」
「たまにはいいだろ」
「やだよ。手首が痛い」
「ん?じゃあタオルを挟まないとな」
手首と手錠の間にタオルを巻いてくれた。けど、求めてるのはそういうことじゃない。気を使うところが違うんだよなあ。
「日向」
「ん?」
「目隠しもしていいか?」
「嫌」
「怖くない。傍にいるから」
だからそういうことじゃないんだって。でもやっぱり人の話なんか聞いていない。お構いなしにタイを手にしたダンデがにじり寄ってくる。こわい。
「なんだか、…興奮するな」
「なに?」
「君を拘束して、追い詰めて…悪いことをしているみたいだ」
悪いことしてるよ。いくら恋人って言っても同意がなかったらレイプと同じだぞ。
「実は日向も好きだもんな」
「普通でいいよ」
「マンネリは嫌いだろう?」
後ずさって、いつの間にか背後にベッド。絶体絶命ってやつだ。なんて思ってる間に押し倒されて、タイを持ったダンデがライトを背後にしてにっこりと笑う。
「紳士的な態度は?どこ行ったの?」
「そんなものはスタジアムに置いてきた」
「うそだ。バトルの時紳士的だったことなんかない癖に」
「はは、そうだな。元から待ち合わせていない」
優しく頭に触れる手が、するりとタイを回す。視界が塞がれる瞬間、金色の瞳がきらきらとこっちを見つめていた。
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