椿時雨





この人がダンデ?
茫然と見上げると男の人は困ったように頬を掻いた。

「とりあえず家に帰ろう」
「家…家って、どこ、ですか」

ぽんとボールから飛び出したのはリザードンだった。見覚えのあるその姿に、知っている子に会えた安心感、それからじゃあやっぱりこの人は…と若干の絶望。

「い、一緒に…?」

いくらダンデと言っても10年後なんだから、ほとんど他人のようなものだ。思わず不安げに見つめると、ダンデは優しく笑った。

「なにもしないさ」
「えっあっ…」

あからさまに態度に出ていたみたいだ。安心させるように言われて顔が熱くなる。

「ここが君の部屋だ。俺はこっちの部屋にいるから、何かあったら呼んでくれ」





「ダッ…ダンデさん」

優しく頬に手が触れた。薄暗い室内で、見下ろすダンデさんの瞳が光って見える。

「すまない」

どちゅっと勢い良く突き入れられて、体が跳ね上がった。反動で涙が散った。声も出せずに震える私を宥めるように、ダンデさんはぴったりと体をくっつけてわたしの名前を呼んだ。

「日向、日向」
「あ、あ…うごか、ない、でぇ」

くちゅりと彼の腰が動き始める。その動きを止めるように足を絡ませると、その足を鷲掴まれた。

- 32 -

*前次#


ページ:



ALICE+