機関室は、出撃デッキに繋がっている。この部屋は機関室に向かう道中でも思ったが、抉られた壁やら崩れかけたブロックやら、戦闘の痕跡が生々しく残っている。
生きものが壁際に設置してあった機械のスイッチやレバーを操作すると、壁から小型艇がたくさん収められている倉庫が現れたり、船外へ出るための隔壁が開き始めた。
「これで、外へ出るんだな」
赤い小型艇に乗り込みながら、生きものが「そうだ」と鳴く。
「フィリア、降ろすよ」
「ありがと……」
キーブレードを出すために抱えていたフィリアを降ろすと、パッと背を向けられてしまった。接続区画での様子といい、自分に触れらることが嫌なのだろうか?……自分は、フィリアに触れることが好きなのに。
キーブレードをライドに変えていると、機関室からの扉が開き、あの男が現れた。続いて、接続区画から男と同じ光線銃を構えた者たちも。
「いたぞ!」
「──撃てぇ!」
「──守りを!」
男の合図で一斉に光線が降り注ぎ、フィリアの張ったリフレクで乱反射した。光線はあちこちで弾け、ボロボロだった出撃デッキを更に破壊する。
「攻撃をやめろっ! これ以上出撃デッキを壊すんじゃない!」
「ええっ、でも逃がしちゃいますよー?」
なにやら言い争いが始まった。チャンスだ。
「フィリア」
「うんっ」
肩の装置を叩き、キーブレードに乗る。生きものの小型艇も発進し、一緒に異空の回廊の海へ飛び出した。
赤い小型艇と共に、異空の回廊を疾走する。追っ手からの攻撃が襲ってくるけれど、生きものは気にした様子もなく歓声を上げた。
横に並ぶと、生きものがこちらに手招きした。本当に楽しそうだ。
「どこへ行くんだ?」
訊ねると、生きものは小型艇のレバーを引っ張った。小型艇から無機質な機械音声が流れ始める。
「ハイパードライブ開始……システムチャージ」
「ヴェン、囲まれたよ」
統率された動きで、自分たちの周囲を青と白の小型艇が埋め尽くした。フィリアを抱く手に力を込める。
「警告。ナビゲーション不能。ただちにハイパードライブを中止してください」
生きものが慌てて上げたレバーを下げるが、警告音は鳴り止まない。
「危険だ! みんな離れろ!」
あれほどしつこかった小型艇たちが、蜘蛛の子を散らすように去って行った。良くないことが起こっているのはわかるが、いったいどうすればいい?
生きものがガラスに張り付いて、こちらに何かを伝えようとした。しかし、さっぱりわからない。
「どうしたんだ? なにかあったのか?」
「えと……『危険。離れて、どうにもできない』?」
フィリアが生きものの言葉を繰り返すかのように呟く。せっかく友達になれたのに、放っておくことなんて──。
突如、小型艇が今までと比べ物にならないほどの勢いで加速した。間近にいたため、その衝撃をまともに食らい、キーブレードから落ちてしまう。
「##NAME2##──ヴェーン!」
遠ざかってゆく声を聞きながら、体も意識も暗闇の底へ落ちていった。