chapter:恋心 ◆Side:Mioh Kisaki◆ 今朝、涼とキスをして――……。 それ以上のこともして――……。 はじめてなのに、涼(りょう)のを咥えたり、飲んだり……。 おかげで、昼休憩になった今でも、僕の鼓動は鳴り止まない。 僕は胸を押さえ、堪えきれなくなって机に突っ伏した。 ……やばい。 そう思ったのは、僕が初めて口淫をしたこととかじゃなくって、イく時の涼の顔がすごく格好良かったことだ。 整った、男らしい眉を眉間に寄せて、上を向いた顔に半開きになった薄い唇……。 あの唇に……僕はキスしたんだ……。 これじゃあ、病みつきになってしまう。 涼にどっぷりハマってしまった僕は、これからどうしたらいいんだろう。 僕の中で、今朝よりもずっと、涼がいっぱいになっている。 彼を想いすぎた胸が、破裂しそうだ……。 「はあ……」 「どうした? 姫、ため息? 幸せが逃げちゃうぞ?」 ため息をついた僕の頭上から声が聞こえた。 顔は見なくてもわかる。 この声の主は、山本 恭一(やまもと きょういち)だ。 最悪なことに、僕は彼と同じクラスなんだ。 だからこうして、彼は僕に話しかけてくる。 いい意味では、厄介な彼がいるから、他の連中からは手出しされないこと――。 だけど、いつも突っかかってくる彼といるのは、やっぱり疲れる。 「……うるさい」 山本 恭一と顔を合わせることなく、僕は顔をうつ伏せたまま、ツンケンした態度をとる。 すると彼は、僕の頭を、いやらしい手つきで撫でてくる。 やめろと睨めば、彼は嬉しそうに口角を上げて笑った。 |