キャンバスに映る貴方
第四話





chapter:恋心




◆Side:Mioh Kisaki◆



今朝、涼とキスをして――……。

それ以上のこともして――……。


はじめてなのに、涼(りょう)のを咥えたり、飲んだり……。


おかげで、昼休憩になった今でも、僕の鼓動は鳴り止まない。


僕は胸を押さえ、堪えきれなくなって机に突っ伏した。




……やばい。


そう思ったのは、僕が初めて口淫をしたこととかじゃなくって、イく時の涼の顔がすごく格好良かったことだ。


整った、男らしい眉を眉間に寄せて、上を向いた顔に半開きになった薄い唇……。


あの唇に……僕はキスしたんだ……。



これじゃあ、病みつきになってしまう。


涼にどっぷりハマってしまった僕は、これからどうしたらいいんだろう。


僕の中で、今朝よりもずっと、涼がいっぱいになっている。

彼を想いすぎた胸が、破裂しそうだ……。



「はあ……」

「どうした? 姫、ため息? 幸せが逃げちゃうぞ?」


ため息をついた僕の頭上から声が聞こえた。

顔は見なくてもわかる。


この声の主は、山本 恭一(やまもと きょういち)だ。


最悪なことに、僕は彼と同じクラスなんだ。

だからこうして、彼は僕に話しかけてくる。

いい意味では、厄介な彼がいるから、他の連中からは手出しされないこと――。

だけど、いつも突っかかってくる彼といるのは、やっぱり疲れる。



「……うるさい」

山本 恭一と顔を合わせることなく、僕は顔をうつ伏せたまま、ツンケンした態度をとる。


すると彼は、僕の頭を、いやらしい手つきで撫でてくる。


やめろと睨めば、彼は嬉しそうに口角を上げて笑った。


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