キャンバスに映る貴方
第三話





chapter:思い焦がれて





だが、先輩は、そうじゃなかった。


彼は、美術室の後ろと前、それぞれのドアを閉じ、中から鍵をかけただけだった。



――え?



放心状態になる俺に――先輩は、ふたたび目の前にやって来て、俺の首に、細い腕を巻きつけた。



「これで誰にも邪魔されないね」



……すごい殺し文句だ。



間近でにっこり微笑みながらそんなことを言われれば、もう何も考えられなくなる。

俺の半開きになった口に、先輩の唇が付いては離れ、離れては付いてと、何度も啄む。

その度にリップ音が生まれ、俺を欲望へと誘う。

――もう無理だ。

自制が利かない。



俺は、交わすキスの合間に自分のブレザーを脱ぎ、そうして床に落とすと、先輩をそのまま、ゆっくりと倒していく――……。



朝の白い光が、教室に舞うホコリに乱反射して、それが先輩の透けるような白い肌を包む。


ただのホコリなのに、それさえも綺麗に見えてしまうのは、美しい先輩がここに居るからだろう。



先輩の、ふっくらとした唇を舌でなぞり、白い喉元へと這わせていく。



「とうどうくん……」



俺の名を呼ぶ先輩。


どうせなら、下の名前で呼んで欲しい。


「涼(りょう)って、呼んでください」

「……んっ、あっ」



先輩の耳に息を吹き込むようにしてボソリと告げると、華奢な身体が仰け反った。

耳朶を甘く噛んで、悩ましい声を聞く。

「ぁ、ぁ……りょう……涼っ!! 涼も呼んで!! 僕の名前っ!!」


先輩は華奢な身体をくねらせて、そうしてゆっくり、俺の名前を呼んでくれた。


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