chapter:Bump~運命の出会い しかも、この男がこうして優しくしてきても、最後にはオレを兵士に突き出すかもしれないんだ。 信用なんて、できるはずがない!! 「……お前、よくもオレの邪魔をしてくれたな!! お前さえあらわれなきゃ、食いもんを地面に落とすこともなかったし、病気の母さんや、今年7歳になったばかりの幼い妹も今日一日、腹を空かせることもなかったのにっ!!」 オレは、父さんが亡くなってからずっと感じていた、今までの溜まりに溜まった鬱憤(うっぷん)を晴らそうと、勢いにまかせて早口で言い切った。 オレだって、この男にそんなことを言ったって、解決しないことはわかっている。 これは、ただの八つ当たりだ。 実際、コイツがあらわれてくれなければ、オレの命はあの場で消えていただろう。 盗みを働いた者には重い処罰が待っているのは事実だ。 死刑か、あるいは終身刑か――。 オレが明日の食料を探すこともできなくなってしまえば、病気の母さんと幼い妹は行き倒れてしまう。 だから、目の前にいる男が、この後オレをどうするのかは別として、追いかけてきた兵士たちから助けてくれたことについては感謝こそすれ、怒るのは間違っている。 それでも……と、そう思うのは、食べ物も手に入れたかったという、欲張りなオレがいるからだ。 |