アラビアン・ナイト
第二話





chapter:Bump~運命の出会い





オレは胸で荒い息をしながら、ただ押し黙った。


男は、そこまで言ったオレが、どんな生活をしていたのかを理解したらしい。


整った眉をハの字にすると、一度考えるように唸り、ポケットから、青々と輝く大粒の宝石――サファイアを取り出した。




「これを質屋に持って行って、金に換えるといい。これで君も、君の家族もしばらくは飢えを凌げるだろう?」


にっこり微笑み、そう言う男。

そこで理解したのは、どうやらこの男。

本当にオレを助けるつもりらしい。


世間知らずな阿呆決定だ。




だけど、オレを助けるつもりの行動は、オレの神経を逆なでした。


そんなことも知らず、男はいいことをしたと思っているのだろう。ただ微笑むばかりだ……。




「いらねぇよ!! んなもんっ!!」


オレは差し出されたサファイアを手の甲で弾き飛ばした。


サファイアは、ポトンと大きな音を立てて、絨毯の上に転がった。





「なんだよ、お前。貧しいオレたちを馬鹿にしてんのか?」



 ムカムカ、ムカムカ。

 ああ、イライラする!!


「えっ?」


 男は、オレが何に対して怒っているのかを理解できずにいるらしい。

 目を大きく開いてオレを見下ろしている。


 それはそうだ。

 なんにも苦労していない高潔の奴が、オレたち下民の気持ちなんて知るわけがないんだもんな。





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