chapter:Bump~運命の出会い オレは胸で荒い息をしながら、ただ押し黙った。 男は、そこまで言ったオレが、どんな生活をしていたのかを理解したらしい。 整った眉をハの字にすると、一度考えるように唸り、ポケットから、青々と輝く大粒の宝石――サファイアを取り出した。 「これを質屋に持って行って、金に換えるといい。これで君も、君の家族もしばらくは飢えを凌げるだろう?」 にっこり微笑み、そう言う男。 そこで理解したのは、どうやらこの男。 本当にオレを助けるつもりらしい。 世間知らずな阿呆決定だ。 だけど、オレを助けるつもりの行動は、オレの神経を逆なでした。 そんなことも知らず、男はいいことをしたと思っているのだろう。ただ微笑むばかりだ……。 「いらねぇよ!! んなもんっ!!」 オレは差し出されたサファイアを手の甲で弾き飛ばした。 サファイアは、ポトンと大きな音を立てて、絨毯の上に転がった。 「なんだよ、お前。貧しいオレたちを馬鹿にしてんのか?」 ムカムカ、ムカムカ。 ああ、イライラする!! 「えっ?」 男は、オレが何に対して怒っているのかを理解できずにいるらしい。 目を大きく開いてオレを見下ろしている。 それはそうだ。 なんにも苦労していない高潔の奴が、オレたち下民の気持ちなんて知るわけがないんだもんな。 |