chapter:Bump~運命の出会い そう思うのに、一度流れはじめた涙を引っ込めることはできない。 オレは、今までに出したことがないくらいの大声で、泣いた。 夜泣きする赤ん坊のように泣きじゃくるオレを、だけど男は馬鹿にすることはない。 それどころか、泣くオレを慰めるように、オレの体が男の方へと引き寄せられる。 細い体をしている痩せっぽっちなオレは、男の腕の中ですっぽりと入ってしまった。 ……人を簡単に信じるのは良くないことだ。 そんなの、知っている……はず、だったのに……。 なんでだろう。 この男の、オレを包む手がとても優しくて、安心する。 だからこそ、オレは日頃から恥だと思っていた、人前で泣くという行為を、この男の前で晒(さら)してしまったんだ……。 |