アラビアン・ナイト
第二話





chapter:Bump~運命の出会い





そう思うのに、一度流れはじめた涙を引っ込めることはできない。




オレは、今までに出したことがないくらいの大声で、泣いた。


夜泣きする赤ん坊のように泣きじゃくるオレを、だけど男は馬鹿にすることはない。


それどころか、泣くオレを慰めるように、オレの体が男の方へと引き寄せられる。


細い体をしている痩せっぽっちなオレは、男の腕の中ですっぽりと入ってしまった。





……人を簡単に信じるのは良くないことだ。

そんなの、知っている……はず、だったのに……。


なんでだろう。

この男の、オレを包む手がとても優しくて、安心する。



だからこそ、オレは日頃から恥だと思っていた、人前で泣くという行為を、この男の前で晒(さら)してしまったんだ……。





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