アラビアン・ナイト
第二話





chapter:Bump~運命の出会い





「苦しいんだよね、君たちは……。

――そうだね、君の言うとおりだ。この世界から貧しい人々を無くそうと思うのなら、目に見える部分だけではなく、根っこの部分から始末しなければならない……」



オレの目尻に、男の長い指が触れる。

頬を伝い、流れ出る涙を受け止めた。


男は、オレの言い分を馬鹿にすることなく、それどころか肯定した。





「すまない」


それは、ただの謝罪。

だけど、今まで、鼻持ちならない奴から、そんな言葉を聞いたことがあっただろうか。


たったひと言の、その言葉が、オレの心を打つ。



「……っつ!!」


――もう、限界だった。




初めて会った相手だとか、身分があるお偉い奴だとか。



大金持ちだとか、そんなこと、今はどうだっていい。


男のおかげで、オレが今まで築き上げてきた防波堤は崩壊した。


父さんが逝ってしまったこと。


働いて収入を得られないことへの憤(いきどお)り。


母さんの病状が、金がないために医者に診せることさえできなくて、日に日に悪化していっていること。


幼い妹の存在が――。


オレの両肩に、重くのしかかっている、さまざまな不安要素が、一気にあふれ出した。





「っふ……うわあああああんっ!」





……人前で、無様に大泣きするオレはなんて恥知らずだろう。





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