chapter:Bump~運命の出会い 「苦しいんだよね、君たちは……。 ――そうだね、君の言うとおりだ。この世界から貧しい人々を無くそうと思うのなら、目に見える部分だけではなく、根っこの部分から始末しなければならない……」 オレの目尻に、男の長い指が触れる。 頬を伝い、流れ出る涙を受け止めた。 男は、オレの言い分を馬鹿にすることなく、それどころか肯定した。 「すまない」 それは、ただの謝罪。 だけど、今まで、鼻持ちならない奴から、そんな言葉を聞いたことがあっただろうか。 たったひと言の、その言葉が、オレの心を打つ。 「……っつ!!」 ――もう、限界だった。 初めて会った相手だとか、身分があるお偉い奴だとか。 大金持ちだとか、そんなこと、今はどうだっていい。 男のおかげで、オレが今まで築き上げてきた防波堤は崩壊した。 父さんが逝ってしまったこと。 働いて収入を得られないことへの憤(いきどお)り。 母さんの病状が、金がないために医者に診せることさえできなくて、日に日に悪化していっていること。 幼い妹の存在が――。 オレの両肩に、重くのしかかっている、さまざまな不安要素が、一気にあふれ出した。 「っふ……うわあああああんっ!」 ……人前で、無様に大泣きするオレはなんて恥知らずだろう。 |