アラビアン・ナイト
番外編 第二話





chapter:Passion







いつも静かなんだけど、今日はいつもより、ずっと静かな気がする。


聞こえるのは、オレの、ドクン、ドクン、と鳴る心音。


それと……。


「……アティファ」


オレを呼ぶ、ヘサームの声だけ……。




「あ……」


ベッドに押し倒されたオレの真正面には、すべてを見透かすような視線が注がれる。



いつもは冷静なヘサームは、だけど今は違う。


黒水晶のような、淀みない目は欲望を宿し、彼が男だということを、あらためて認識させられる。



……トクン。


ヘサームの視線とオレの視線が重なれば、心臓が大きく跳ねた。


「……アティファ」


もう一度、ヘサームがオレの名前を呼ぶ。



「……んぅ」

間もなくして、薄い唇によってオレの口は塞がれた。



オレは深い口づけを受ける。

ヘサームによって、オレが着ていた衣服のすべてが脱がされていく。


性急な行動は、いつもの冷静なヘサームらしくない。


それでも、少しも怖いとは思わない。


だってさ、早くオレを抱きたいって思うくらい、オレのことを好きっていうことでしょう?


それに、オレが知らないヘサームの一面を知ることができるんだ。

好きな人のことなら、どんな些細なことでも知りたい。

それが恋心っていうものだ。


らしくないヘサームを見ることができて嬉しい。




リップ音と一緒に、オレの口が解放された。





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