chapter:Passion ヘサームとの距離が生まれる。 瞳孔が開ききった雄を感じさせる貪欲な目が、みすぼらしい貧弱なオレの体を写し出す。 そこで、オレは裸になったんだって気がついた。 ヘサームの背後にある窓からは、優しく輝く満月が覗いている。 いつもよりずっと明るい月の光が、ヘサームに組み敷かれているオレを照らす。 ヘサームにすべてを見られて恥ずかしい。 だけど、それだけじゃなくって、ヘサームにはオレの全部をもっと見てほしいと思う浅ましい自分さえもいる。 熱い。 ヘサームにオレのすべてを見られて、体が熱をもつ。 「美しい」 ボソリと、オレの耳元でささやく色香を漂わせた掠れ声。 耳孔から、吐息が直接入ってくる。 「……んっ」 くすぐったい。 両肩が縮む。 だけど、それは恐怖からくるものじゃない。 オレの体、すごく熱いから、きっと、顔も真っ赤だ。 今は夜。 昼間ほど細かな表情を見られることはない。 だけど、今日はいつもより明るい満月が空にある。 目が暗闇に慣れてしまえば、オレの表情なんてすぐにバレる。 現に、ヘサームはオレの顔が真っ赤だって、気づいたみたいだ。 細い目をさらに細くして、微笑むヘサームが見えた。 恥ずかしくて視線を逸らせば、それを合図にしたみたいに、ヘサームは動いた。 オレの両胸にある乳首のひとつに薄い唇が吸い付いた。 |