chapter:Seek~傷負い人 ――ヘサームにオレじゃない、好きな人がいる。 そう思っただけで、オレの胸は張り裂けそうだ。 そんなことを考え、頭を抱えているオレをよそに、ナジさんは、目にかかるやや長めの前髪を後ろになで上げた。 ナジさんの顔がやつれて見えるのは、ほかでもない。 ベッドの上に横たわり、苦しげに何度もオレの名を呼ぶヘサームのせいだ。 なんたって、ヘサームの熱は、さっきまで一向にひく気配がなかったから……。 あ、今は大丈夫。飲ませた薬がやっと効いてきたみたいだ。 腹に受けた傷の痛みも、熱がひくのと同時に緩和されつつあるらしく、薄い唇から吐き出される息が、少しずつだけど落ち着いてきている。 「――にしても、だ。 俺はもう、面倒は見切れんぞ。後にも先にも、コイツの面倒は君に任せるよ。何かあったら従者を寄越してくれ」 ナジさんはそう言うと、疲れ切った表情でヘサームを見下ろし、苦笑を浮かべていた。 対するオレはっていうと、顔が熱いから、きっと真っ赤になっていると自分でもわかる。 だって、ナジさんの言ったそれはまるで、義父が新妻に声をかけるみたいだったから……。 そんなオレの表情を覗き見たナジさんは、ややあって頷いた。 「なんだ……ちゃっかり両想いじゃないか。 こいつ、お前さんには嫌われてると思って傷ついてやがるから、誤解は早めに解いてやってくれ」 |