chapter:Seek~傷負い人 バシラさんと従者の人たちは、ヘサームのことを気にかけながらも、この場に複数いるのはかえって良くないことだとそう言って、部屋を出た。 ナジさんとオレ以外、この家には誰もいない。 オレは、というと……。 5分に1回くらいのペースで、隣に置いている冷たい水を入れた容器の中に布を入れ、絞ると、うなされているヘサームの額にしめった布を置くという作業を繰り返していた。 「……いくら好いた人のためだといってもな、自分の身に危険が迫っているとわかっているのに、それも承知で巣穴に乗り込む奴がどこにいるっていうんだ……」 『好いた人』 ナジさんの言葉に、オレはドキッとした。 ……やっぱり、ナジさんも、ヘサームが恋しているその相手がオレだってわかったみたいだ。 そりゃそうか、なにせオレはさっき、ヘサームにキスされちゃったし? ……だけど。 だけど、本当にそうなのかな? オレ、本当にヘサームに想われてるのかな。 なにせ、オレはヘサームと同性だ。 もし……もしも、ヘサームが恋をしている相手がオレじゃなかったら……。 だとしたら、オレってかなり、うぬぼれ屋の勘違い野郎じゃないか!! さっきのキスも、もしかしたら、オレじゃない人のことを考えて、意識が朦朧(もうろう)としていたからっていうのもあり得るんじゃないか? |