chapter:Passion~アティファ それを感じ取ったのか、ヘサームは火傷でもするかのように、オレの体から手を放した。 何の予兆もなく、ふいに解放されたオレの唇は、ほんの少し、寂しさをおぼえる。 ヘサーム? いったいどうしたんだろう? 「……アティファ。流されているのか?」 オレの頭は、長いキスのおかげでボーッとする。 そんな状態の中、ヘサームが放った声が冷たく響いた。 火照りつつあった体に冷水をかけられるみたいに……。 「っ、んなっ!!」 カチン! ヘサームのその一言がシャクにさわった。 だって、その言葉は、オレのこと、誰にでも体を開くヤツだと思ってるってことだろう? 媚薬なんて、ほとんど抜けきってる状態で、誰が簡単に体を開くかよっ!! オレは、ヘサームだからキスを許したんだ。 他のヤツなら、ぶん殴ってるところだ! 「ヘサームなら、キスしてもいいって思った。これはオレの意志だ!」 ――ああ、だけどヘサームは、もしかすると淫らなオレが気に入らないのかもしれない……。 ヘサームはきっと、出会ったばかりの頃のオレが好きで、他の男に体を開いたオレが嫌いなのかも……。 だったら……。 だったら、どうしてそう言わないんだろう。 |