chapter:Passion~アティファ 「そんなにオレのことが嫌いなら、『守れない』ってまどろっこしい言い方なんかやめて、『誰にでも簡単に体を開いたオレが気持ち悪い』って、そう言えばいいじゃん!!」 気がつけば、怪我人に向かって怒鳴っていた。 だけど、今はヘサームが怪我人だと気遣うことができない。 心がズタズタに引き裂かれたオレの方が重病のように思える。 ――馬鹿みたいだ。 オレばっかり舞い上がっちゃってさ……。 ヘサームはもう、この恋に冷めてしまったのに……。 オレはなんで、ヘサームと両想いだって――こうしている今でもオレのことを想ってくれていると、どうしてそう思ったんだろう。 状況は、もう変わっているっていうのに、バシラさんやナジさんの言葉を信じていたなんて!! オレ、馬鹿じゃん……。 気がつけば、オレの目から涙が流れていた。 涙、止まらない。 それくらい、ヘサームのことが好きになっていたなんて、自分でもビックリだ……。 「アティファ……」 ヘサームが手を伸ばしてくる。 でもきっと、これはオレを気の毒に思っただけだ。 オレを想ってくれてもいない相手に優しくされたって、ちっとも嬉しくない。 オレは、差し出される手を払い除けた。 パシンッ!! 乾いた音が、冷たくなった心に響く……。 |