chapter:Harem~砂漠に咲く花 オレは、去っていく凛々しい兵士たちの後ろ姿を呆然と見送っていた。 「アティファ、あまり勝手に動くな! 危ないだろう?」 「平気平気、オレ強いから。ヘサームだって、オレの腕前、知ってるだろう?」 ヘサームが怪我で動けない状態で襲撃にあった時、撃退したのはオレだもんな。 ヘサームはそのことをよく思っていないらしい。 整った顔はしかめっ面をしている。 「わ〜かったよ、気をつける。だけどさ、ヘサームはもし、オレの身に何かあったら、駆けつけてくれるだろう?」 ヘサームはオレよりもずっと背が高い。 だから必然的に、オレは上目遣いだ。 おかげで甘えるみたいになってしまった。 ……恥ずかしい。 顔を真っ赤にしているオレを、ヘサームの双眸が映し出す。 「当然だ」 オレの腰に手を回し、薄い唇がオレの口を塞ぐ。 「…………ん」 辺りは闇が広がるばかりだ。 それでも、月光はオレたちを照らし続ける。 オレも甘い声を出しながら、ヘサームから与えられるキスに酔いしれた。 ――ここは亜熱帯地域。 砂漠に囲まれた過酷な国。 だけど、民の笑顔が絶えない、とても豊かな国なんだ。 *Fin* |