chapter:秘密を抱えて繋がる夜。 ダブルベッドの上で、霧崎 悠里(きりさき ゆうり)は頬を朱に染めていた。 そんな悠里の口内を、彼の舌が蹂躙する。 リップ音と水音だけが室内を覆い、窓辺から流れてくるひんやりとした夜風が火照った頬をなぜる。 その夜風と共に、何処からか金木犀の花の香りが運ばれてくる。 それと……自分を組み敷いている彼……間宮 昴(まみや すばる)のムスクの香り……。 彼の端正な顔立ちからは考えられないほど、何度も何度も……まるで、悠里のすべてが自分のものであるというように、悠里を繰り返し抱く。 (違うのに――。そうじゃない。昴は、そんなふうには思っていない。昴を好きなのはぼくだけで、昴は違う) 生まれ出た考えを打ち消すため、頭を振れば、薄茶色のやわらかな髪が目尻にかかる。 そんな中、昴が悠里の行動に気がついた。 「何か考え事をしているね、樟葉(くずは)のことか? 俺が君の上に乗っているというのに?」 ……許せないな。 昴は悠里から唇を離すと、口角をぐっとあげ、悠里のパジャマの裾へと手を忍ばせた。 (違う。樟葉さんのことは考えてない) そう反論したいのに、言葉はうまく出せなかった。 「んっ……はっ」 代わりに喘ぎ声を出してしまう。 びくんと悠里の腰が跳ねた。 悠里は必死にあえぎ声を止めたくて、動く腰をなんとかしたくて、両手で口を塞ぐ。 |