好きと言えない。
番外編





chapter:☆・゜:*Happy Christmas*:゜・☆





「これ、なんだと思う?」

 ひらひら、ひらひら。

 悠里の目と鼻の先で揺れている、2枚の紙が見えた。

 それはチケットだろうか。

 そしてもうひとつ。

 赤い色をした、ふたつの――パスポート。

 果たして、それらが意味するものは――。

「今夜から1週間、オフをもらった。ふたりきりで旅行しよう」

「いいの?」

 悠里は昴の言葉が信じられなくて、キョトンとしていると、額に何かが触れた。



 チュッ。

 額からリップ音が生まれ、離れていく柔らかい感触。

「嬉しいよ、悠里が自分から一緒にいたいと言ってくれて」

「昴……」


 我がままはいけない。

 昴を困らせるだけだ。

 昴を好きなのは自分だけで、彼はただ、自分に合わせてくれているだけ――。

 子供の自分は何時か、昴に振られるだろう。

 そう思っていた悠里の心が、大きく震える。


「……っひ、うえっ」

 赤い唇から弾き出される嗚咽と共に目じりから流れるのは、嬉しい涙だ……。



「俺からのクリスマスプレゼント。……で、いいのかな」

 照れくさそうに頬を掻く昴に、悠里はコクコクと何度もうなずく。

「うんっ!!」


 嬉しくて、嬉しくて……。



 悠里は昴に抱きついた。

 今日はクリスマスイヴだ。

 明日はクリスマス。

 そして、来年のこの日だって……。

 悠里と昴のクリスマスは、今日で終わりではなく、これからも続く……。

 昴の力強い腕の中――悠里はあらためて、そう実感した。



☆*::*:☆MerryXmas☆:*::*☆



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