好きと言えない。
番外編





chapter:☆・゜:*Happy Christmas*:゜・☆





 悠里がそう言うと、、昴の口角が少し上がった。

 その表情は、嬉しいけれど、それに甘えてはいけないと自制しているようだった。

 だったら、と――……。
 悠里は、中々自分を許さない昴に、これまで言いたかった我がままを言おうと口を開く。

「ねぇ、昴。ぼくのお願い、聞いてくれる?」

 ただでさえ、彼と同性の冴えない自分が、格好いい昴と両想いになり、身体を重ねることができる。

 それなのに、これ以上の幸福を求めるのは、あまりにも図々しい。

 昴には、呆れられるかもしれない。

 そう思うと、不安でたまらない。

 だから悠里は、昴から視線を逸らした。

「なんだ?」

 昴の大きな手が、昴の頭を撫でる。

 その態度が、何でも言っていいと、そう告げてくれているように思える。

 だから悠里は、唇に言葉を乗せる。

「ぼく、昴と旅行に行きたい――」


 それは今でなくていい。

 ずっと先でもいい。

 それでも、ふたりきりで、誰にも邪魔されずにのんびりと過ごしたい。

 そう言った悠里の頭からは、先ほどまであった大きな手が消えた。


「だめ……かな……」

(やっぱり……)


 昴は人気モデルだ。

 けっして我がままは許されない。


 ふたりの空間に、しばらくの沈黙が宿る。

 なかなかやって来ない返事に、悠里は逸らした視線を昴に戻した。

 すると……。


- 110 -

拍手

[*前] | [次#]
ページ:

しおりを挟む | しおり一覧
表紙へ

contents

lotus bloom