chapter:想い、溢れて伝う涙。 「悠里、何故こんなことをする?」 昴はしゃがみ込み、悠里と同じ目線になると、そっと訊(たず)ねた。 その言葉はとても優しくて、悠里のことを考えてくれているような錯覚に陥ってしまう。 けれど、昴はそうではない。 昴の心にあるのは、いつだって、今スキャンダルになっている女優のことだし、悠里はただ、当てつけで抱かれているだけなのだ。 彼女とうまくいけば、昴は悠里を捨て、家庭を築く。 その場所に、悠里はいない。 だから、悠里は首を振り、昴にしがみついた。 涙を流しながら……。 「悠里!!」 「ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」 悠里は、昴に縋り、謝り続けた。 「悠……里?」 悠里はいったい何を謝っているのだろう。 理解できない昴は、涙を流し、首を振るたびに涙を散らす悠里を抱え上げると、ベッドへと移動させた。 やがて、悠里の身体がベッドに沈む。 「なぜ謝るんだ? 怒らないから言ってみなさい?」 そう言いながら、昴は足元にあった毛布を悠里のしなやかな身体に掛ける。 その優しい仕草すら、今の悠里には堪えられなかった。 昴に嫌われないように、抱かれようと思ったのに、それさえも拒絶された。 自分は今、熱に犯されている。 だから、昴はこうして優しい態度を取っているだけだ。 昴はけっして悠里に執着なんて見せない。 |