chapter:拒絶。 そうこう考えを巡らせていると、昴は淡々とした口調で告げてきた。 『ああ、すまない。今、友人と飲みに来てるんだ。帰りは遅くなるから、先におやすみ』 ――それでもいいから、昴を待っている。 悠里はそう言いたかった。 だが、それは昴にとって、迷惑なこと、この上ない。 「うん、おやすみなさい」 悠里は自分の気持ちを堪え、ぐっと喉に力を入れて、電話を切った。 (もっと、話したかったのに……) あれほどまでに深く抱かれたのに、簡単に電話を切られたことが悲しい。 それは、悠里のことを何とも思っていないと告げられているも同然だった。 今夜、昴は一緒に飲んでいるその女性と共に過ごすだろう。 自分を抱いた時のように、その女性を……。 そう思えば、胸がジクジクと痛みだず。 悠里の役目は、もう終わったのかもしれない。 昴はもう、自分の身体に飽きたのかもしれない。 もう……彼には、自分は必要ないのだ。 「……っく……っひ……」 引き結んだ小さな唇から、嗚咽がはじき出される。 視界も歪みはじめた。 両親が喧嘩ばかりしている時、自分を慰(なぐさ)めてくれた昴。 母親が亡くなった孤独な悠里を、小言も言わずに引き取り、学費まで支払って、無償で高校にまで通わせてくれる昴。 風邪をひいても、看病までしてくれた昴。 |