迷える小狐に愛の手を。
第十五話





chapter:蜜に溺れる身体





「だってそうだろう?

人間は無知で愚かだ。常に自分ばかりが苦しいと考え、自分たち生き物とは違う他の者はすべて感情がないと思っている。俺は、そんな奴らを、支配する王になるんだ」


人間を……支配する……?


オレを助けてくれた幸を……?

加奈子(かなこ)を……?



「ち、がう……人間は愚かじゃない!! そりゃ、神楽の父さんと母さんを殺した愚かな人間もいると思う。けど……そればかりじゃ……」


「へぇ、古都は人間の方を持つんだね」

説得しようと試みるオレの言葉を中断し、紡いだ神楽の言葉は恐ろしいほど冷えきっていた。


「そう言えば、古都は人間の世界に来てから、どこでどうしていたのかな?

この足の傷だって、人間の世界で作られた薬が塗ってあるね。いったい、どうしたのかな?」


「っくっ……」


……言えない。

人間に介抱してもらったとか、もし、そういうとこを言えば、人間に復讐心を持つ神楽はきっと、逆上してしまう。

ましてや、オレが人間に恋をしてるなんて言えば、幸は確実に殺されてしまうだろう。


オレは神楽に返事をしないで、口を閉ざした。


「まあいいさ……どうせ、人間は俺たち妖狐族の奴隷になってもらうんだから。それより、古都。続きをしようか」



神楽は唇をひん曲げて冷淡にそう言う。

傍らに置いていた桃色の小ビンからクリームを取り、オレの身体に塗りたくった。





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