迷える小狐に愛の手を。
第十九話





chapter:お日さまを失った日。





幸の意志が、妖力の意志を超えたの?


幸の意識は、妖狐の本能に勝ったの?

「幸…………」


幸が戻ってきてくれたことが嬉しくて、失いそうになっていたオレの意識は一気に覚醒した。

冷たい地面から起き上がる。

だけど、いまだに人間の幸が戻ってきてくれたのか信じられない。

恐る恐る、幸の背中を撫でる。

眠っているハズなのに、ピクピクと反応する大きな耳。

それがとても愛おしい。


「幸…………」

幸……。


ぽたり。

ぽたり、と落ちる涙は、悲しみじゃなくて、嬉しいから。

涙はオレのほっぺたを伝って、倒れている幸の頭に落ちていく……。


「古都!! どうした? 大丈夫か?」

オレが泣いていると、こっちにやってくる複数の足音が聞こえた。


「古都、古都、どうした!?」

鉄の扉を叩く音が聞こえる。


兄ちゃんたちだ。

兄ちゃんたちは、幸の、妖力の異変に気がついて、駆けつけてくれたんだ。



……この想いが報われなくったっていい。

届かなくったっていい。


「幸……好きだよ」


目を閉じて意識を失ってしまった大きな妖狐に、そっと告げた。


見上げれば、高い窓からオレと幸を見守ってくれているように、優しい光りを放つ満月が闇の空から覗かせている。


よかった。





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