迷える小狐に愛の手を。
最終話





chapter:想い遙かに、忍ぶ恋





「あっ!!」

舌が傷口に当たった瞬間、激痛が身体を貫く。

『痛いか……?』

それを知った幸は、舌を止めてオレの様子を見つめてくる。

こういう時に言うのもなんだけどさ、しょぼんとした顔がすごくかわいい。


ヘンなの。

オレが痛いのに、幸の方が痛そうにしてるだなんてさ。

思わず笑ってしまうと、幸の眉間に皺が寄った。

何がおかしいのか分からないっていう顔だ。


「幸、へいき。幸はオレの傷を治そうとしてくれてるだけだって分かるから……だから、平気」

オレが話しかけると、幸は首を振って、『君にはかなわない』とぼそりと呟いた。


威厳たっぷりで、人型のオレよりも身体が大きい妖狐がそうやってブツブツ言うのって、ほんとかわいい。

オレは込み上げてくる笑いを堪えるため、しっかり唇を引き結んだ。

そうしたら、幸はまたオレの腹に舌を巻きつけてきた。


ズキリと痛む腹。

なのに、幸に舐められていくと、さっき舐められた肩と同じように疼きはじめる。

「あ、あ、……ゆき……」

引き結んだ口はすぐに開き、幸を求めて喘いでしまう。

オレの両手は、幸の後頭部へとまわった。


ふわふわな幸の毛並みを堪能していると、幸も舌を動かし、オレの傷の中へと舌を這わせていく……。

それと同時に傷口の痛みは次第に消えていく……。

だけど代わりにオレ自身が膨らみすぎて痛い。





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