chapter:恋ってなに? まるで、おひさまみたいな、そんな感じ。 「だけど……鏡さんはわたしの気持ちには少しも気づいてくれない。まだ学生だからっていうのもあるんだろうけど……でも……」 そう言って、加奈子は唇を噛みしめると、自分の胸を見下ろした。 「さっきの女の人みたいに胸も大きくないし、わたしの性格もどちらかっていえば臆病で、あんなに大胆なことはできないし……。 やっぱり鏡先生にはそういう対象としては見られないのかな……」 いや、オレはさっきの女よりも加奈子の方がずっと好きだぞ? だってあの女は、自分の身体を武器にしてるみたいで気にくわない。 だけど加奈子は違う。 いくら幸に近づくためだからとしても、受付の仕事はきちんとしてるし、幸とはまったく関係ない、弱りきっているオレの世話までしてくれたんだ。 だけどあの女は、もし、仮に加奈子と同じような動機があってアルバイトに応募したとしても、きちんと仕事をしないだろう。 まあ、それ以前に、幸はあの女を雇わないだろうけどな。 だって、あの女の服装はどう考えたって動物病院の服装じゃねぇ。 どちらかっていうと、人間の男限定の病院看護の服装に近いかもな。 そんなのがあるのかどうかは不明だけど……。 オレはそのことを伝えるために、もう一度、加奈子の手にすり寄った。 「慰(なぐさ)めてくれてるの? かわいいな……古都ちゃんは……」 |