だいたい、祖父さんの命の恩人にそういうことやっていいわけ? 「大丈夫、大丈夫。絶対に亜瑠兎が男だって、バレないから。だってほら、自分の顔を鏡でちゃんと見てみな?」 花音は自信満々に持っていた手鏡をかざしてきた。 鏡に写っているのは、花音とほとんど同じつくりをした俺の顔だ。 「長いまつげに、すっきりとした目鼻立ち。日焼け知らずの白い肌に、黒い真珠のような肩まである髪。 この、ほっそりとした体は、あたしの服だってきちんと袖を通すわよ? ほら、何も言うことないじゃない」 ああ、本当だ。 俺って綺麗……。 じゃ、なあああああいっ!! 「何が、『ほら、何も言うことないじゃない』だっ!! 言うことありまくるわっ!! 3人ともふざけんなよっ!!」 ――誕生日のその日。 本来ならば喜ばしい一日をーーだが俺は喜べるわけがなく、俺の怒号が家中に響き渡っていたのは言うまでもない。 第一話・16歳。はじまりは突然で…。・完