chapter:溺愛 side:健遙 今は三限目の古文。先生は風邪のため、今日は休み。 自習中の今、俺はグラウンドでサッカーボールを追いかけている年下の恋人を見つめていた。 体操着から覗く白い腕と足。それに赤く染めている頬と、息を切らす唇が艶っぽい。 真壁 翔夢くんは相変わらずとても可愛らしい。 「おっ、真壁くんじゃん」 恋人を見つめていると、中学から腐れ縁の大和が口を開いた。 どうやら彼も翔夢くんを見ていたようだ。 「気をつけろよ、あの子最近色っぽくなったって狙う奴多いから。しかも本人無自覚みたいだし、そういうのが一番無防備で危ねぇんだよな」 「……煩い」 余計なお世話だ。 俺が初めに手を付けたんだ。誰にも渡す気はない。 なんとも下世話な大和に、俺は苛立ちを隠せない。 彼から背を向けた。 「どこに行くんだ?」 「どこだっていいだろう?」 「今日は後片付け当番だって言ってたぞ」 訊ねた大和は俺の行き先をとっくに見抜いていた。ひらひら手を振って俺を見送る。 いつの間に翔夢くんと話すようになったのか。 俺なんて二年も前から話しかけたくてウズウズしていたっていうのに……。 「うわわっ」 倉庫に行くと、大和が言ったとおり、翔夢くんはサッカーボールと格闘していた。 「阿東(あとう)くん、こっちの片付けはぼくがやっておくよ」 どうやら体育の後片付け当番らしい。もうひとりのクラスメイトの子に話しかけていた。 俺は半開きになっていた倉庫のドアをもう少し開け、後片付けのやり取りをしている二人の背後に立った。すると、翔夢くんと一緒に後片付けをしている子の方が俺の気配に気がつき、振り向く。 「あ、じゃあ。俺もう行くな」 どうやら俺の用事が翔夢くんにあることを悟ったのだろう彼は一礼すると、すぐに走り去っていった。 「うん、ありがとう」 さて、この倉庫内にいるのは翔夢くんと俺なわけだ。そのことに気がつかない彼は振り向きもせずにそう言うと、ひたすらサッカーボールをカゴの中へ直していく。 可愛らしいお尻を突き出し、片付けに励む。 日焼け知らずの華奢な身体に細い足。胸にはぷっくりと膨らんだ乳首があって……。 ああ、ダメだ。 「翔夢くん」 「えっ? 三浦先輩? うわわっ!」 「危ない!!」 突然声をかけたのが悪かった。翔夢くんの不安定な足場は崩れ、倒れそうになるところをなんとか腕を伸ばし、自分の方へ引き寄せた。 俺の腰に重なっているマットレスが当たった。 「せんぱい、どうしてここに!! ってそうじゃなくて……すみません。あの、ありがとうございます」 「怪我はない? ごめんね、突然呼びかけたりしたらびっくりするよね」 「いえっ、ぼくがトロくさいからいけないんです」 「本当に怪我はない?」 「はい。ありがとうございます」 にっこり無防備に笑うその表情は人懐っこい。俺以外にもそういう表情を見せたかもしれないと思うと、妬ける。 「怪我がないか、たしかめなきゃ」 嫉妬心が俺を支配すると、華奢な身体をマットレスに押しやる。体操着を捲り上げると見えるのは、白い肌に掠った赤い跡がある。 そして、俺が翔夢くんを抱く度に弄っているおかげで他の男子よりも幾分かツンと尖っている可愛らしい乳首も……。 「あの、せんぱ……ひゃっ」 「ああ、ちょっと赤くなってる……」 舌を這わせ、赤くなっているそこを舐めながら、赤く色づいている乳首を弄る。 押し潰し、あるいは摘んでやると、乳首がさらに尖っていく……。 「せんぱ……だめ……体育で汚れてるからっ!!」 俺の愛撫に感じているのか。体操着の半ズボンで膨れてきているのがわかった。 しなやかなこの足も、太腿の間にある可愛らしい一物も。全部俺のものだ。 「汚くないよ。翔夢くんはとても綺麗だ」 邪な考えしかない俺とは違い、純真な彼は本当に可愛らしい。 「やっ、先輩? っひぅう……」 汚くないと思っていることを証明するため、ズボンをくぐり、直に撫でてやると、華奢な身体が跳ねた。 「今日、大和に話しかけられたでしょう? にっこり笑って何を答えたのかな?」 「やま、と、さん?」 翔夢くんは首を傾げ、名前を復唱した。どうやら大和の名前までは知らないらしい。 ということは、奴は俺の友人として話しかけたということだろうか。 それでも妬ける。 俺は翔夢くんの細い腕を後ろで固定する。 後ろの蕾へと指を差し込めば、俺の指を覚えている内壁は従順に飲み込んでいく。 「えっ、せんぱ、や……」 「翔夢くん」 下着事ズボンを膝下まで下ろせば昼間の明るい日差しに照らされる。 周囲に舞うのは埃なのに、太陽光に乱反射しているその光景はとても神聖なもののように見える。それはきっと、俺の下に翔夢くんがいるからだ。 彼は快楽に染まりつつある大きな目が潤み、薔薇色に頬を染めている。 「せんぱ……」 すすり泣くその声もまた扇情的だ。 「可愛い」 中を舐めて潤すと、内壁がひくひくと開閉する。この動きもまた、淫猥でたまらない。 我慢できなくなった俺は、ジッパーを開け、戒めから欲望を取り出すと、魅惑的な内壁に挿し入れた。 「あっ、せんぱ、おっき……ふああっ」 とても愛おしい。誰にも渡したくないとそう言ったら、君はきっと自分は誰にも取られないと言うだろう。 だが、男を煽っていることにも気づかない純粋な君も好きなんだ。 「せんぱ、ぼく……離れたくない……」 「じゃあ、たくさん繋がっていようか」 翔夢くんを仰向けにさせ、華奢な腰を高々と持ち上げる。見えるのは、俺よりも小さい翔夢くんの陰茎が精いっぱい強調し、淫らな蜜を垂れ流しているところだ。 俺を感じてくれていることが純粋に嬉しい。 「本当に可愛い」 俺は絶頂を迎える彼を愛でながら、深い抽挿をゆっくり繰り返す。 「ひぅ……」 幾度かの挿入で、翔夢くんは果ててしまった。俺を咥え込む内壁が窄まる。それでもまだ淫らに舞う翔夢くんを見ていたくて、吐精をぐっと堪える。 腰の動きを止め、収まりつつある頃に再び彼を貪る。 「ふああ……やっ、せんぱ。もっ!」 一度達してしまったことで敏感になっているのだろう。彼はいやいやを繰り返し、喘ぎ続け閉じられなくなった赤い唇からは唾液が流れ落ちている。 先ほど吐精してしまったから、おそらくはもう蜜は出ないだろう。それでも前立腺を刺激されれば、利尿感が出てくる。 「おしっこ出ちゃうよっ!」 「出していいよ。出しているところを見せて」 耳元でぼそりと囁いてみる。 「やっ、せんぱっ! ふ、あああああんっ!!」 目尻から大粒の涙がこぼれ落ち、同時に透明感のある蜜が吹き出す。 その日、昼休憩が終わる直前まで延々と翔夢くんを抱いた。 実感したのは、翔夢くんへの執着が恐ろしいほどだっていうことと、彼がとても可愛らしいという事実だ。 他の連中が狙っているというのも頷ける。 登下校は一緒にしていたものの、しかしもう少し一緒の時間を過ごす必要がありそうだ。翔夢くんを横取りされないよう、気をつけよう。 俺は決意を新たにした。 **END** |