chapter:いきなり嫌われちゃうの?side:雨宮 鈴 みなさん、こんにちは。 ぼくは、雨宮 鈴(あまみや すず)って言います。 実はぼく、入学式からずっと好きな人がいて、最近両想いになったホヤホヤカップルなんです。 ぼくの好きな人の名前は、有栖川 霧我(ありすがわ むが)。 その人は、キリリとした一重に、顎のラインはとっても清々しくてカッコいい人で、黄土色の髪は、お日様の光を浴びたら金色に変化して、キラキラと輝く。 小柄なぼくよりもずっと背が高い。 みんなからも先生からも一目置かれる人だ。 そんな霧我は、ぼくと同じ年でクラスも一緒。 でもって、委員会も一緒。 生徒会で会長を務めるほど、頭脳明晰冷静沈着。 おまけに優しくって、もうなんでもできる人なんだ。 ぼくの好きな人っていうのは、異性じゃない。 だからきっと、受け入れてはくれないと思って、必死に隠してたんだけど、実は、霧我もぼくのことを好きでいてくれたんだって。 それを知った時、嬉しいって思うより先にとってもびっくりしたのを覚えてる。 霧我と両想いになってからもうすぐ1ヶ月になる。 優しくてカッコいい霧我の隣にいられて嬉しい。 毎日がこうして幸せな日々を過ごせると思っていた。 なのに……霧我は最近おかしい。 せっかく両想いになったのに、ぼくと目が合うと、すぐに逸(そ)らす。 にっこり笑いかけても同じ。 |