ねぇ、ギュッてしてよ。
いきなり嫌われちゃうの?side:雨宮 鈴





chapter:いきなり嫌われちゃうの?side:雨宮 鈴





そりゃ、普通の恋人さんみたいにイチャイチャはできないし、人前でキスとか手を握ることもできないと思う。


だけど……だけどね。


ふたりきりになると、霧我はまるでぼくから逃げるみたいにいなくなる。





ぼく、嫌われたのかな。




やっぱり女の子の方がいいって思われたのかな。



ねぇ、霧我。


ぼくのこと、もう嫌いになった?



やっぱり、こんなドジな奴、飽きちゃった?


他に、好きな子でもできた?




ぼくとは……もう一緒にいるのもイヤ?




ねぇ、霧我。

ぼくたち、もう終わっちゃうのかな。



はじめは、ただの思い過ごしかとも思ったんだよ?


でも、でもね……。




「あ、霧我。ぼくも手伝う」



今は放課後。

オレンジ色の夕日が廊下全体を包む中、いつものように先生から押し付けられたダンボール箱を運ぶ霧我の姿を発見したぼくは、そっと手を伸ばし、ダンボールを持っている霧我の手に触れる。


……ドキン。


少し、霧我と触れるだけでもこうして心臓が跳ねちゃう。


それだけ、ぼくの気持ちが霧我に傾いているんだよね。




「いい。お前、すぐコケて中身散らばすから」


だけど霧我は、手伝おうとするぼくを押しのけて、そそくさと背中を向けた。


「……霧我……?」


生徒たちはもう帰宅してしまったから、無人の廊下にひとり、ぽつんと立ち尽くす。





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