chapter:くもりぞら。 「ごめん。別れよう」 唐突な、彼からの言葉。 「え?」 あたしは彼の言葉を理解したくなくて、問う。 ここは睦月(むつき)高等学校、屋上。 そして今の時間は、授業すべてが終わった放課後。 あたし、桂 咲(かつら さく)は、彼氏の宮崎 達也(きやざき たつや)に呼び出され、ここにいる。 「おまえさぁ、可愛げがないんだよ。全然俺を頼ってこないじゃん? 甘えてもこないしさぁ」 ただでさえ、彼の言葉はあたしを固まらせているのに、達也はさらに追い討ちをかけてくる。 「最初はさ、一目惚れだったんだけど、やっぱ、せりあちゃんの方が好きなんだ」 えっ? それって、どういうこと? せりあの方が好きって……。 あたしをせりあの代わりのように思っていたっていうこと? 「お前、俺と別れても問題ないだろ? 強いもんな。弱音、吐かないし」 『じゃあな』 彼は、言うだけ言って、屋上を出て行ってしまった。 ――可愛げがない。 ――お前は強い。 ――弱音を吐かない。 ――せりあの方が好き。 言われた達也の言葉を噛みしめる。 「ふざけるな! あたしだって、あんたみたいな軟弱男、だいっ嫌いなんだから!!」 あたしはありったけの怒りを空に向けて、大声で達也を罵(ののし)った。 |