ひだまりの騎士に抱かれて
第一話





chapter:くもりぞら。





かくいうあたしも、せりあと同じくらい、みんなから可愛いと言われている。


可愛さなら、あたしだって、せりあに負けない自信がある。


だけど、容姿以外では、せりあに負ける。


甘え上手で、可愛いせりあには、勝てる気がしない。



せりあといつも一緒にいるおかげで、あたしはよく、せりあと比べられていた。


そして、結論はいつもこう。



せりあが好かれて、あたしは拒否される。




せりあは悪くない。


問題は、甘えることを嫌っているあたしだ。


「……どうすればいいんだろう…」


どうしたら、せりあのように甘えられるようになるんだろう。


どうやったら、彼氏に振られなくなるんだろう。




また拒絶されたと実感すれば、鼻の奥が、ツンとする。

目頭も熱くなって、視界がぐにゃって歪む。



だけど、泣きたくない。

自分勝手な達也に振られて泣くなんて、あたしのプライドが許さない。



だからあたしは、涙を地面に落とさないよう、空を見上げた。


そうして見えるのは、グレーの分厚い雲ばかりだ。


今朝は雲ひとつなく、青空が広がっていたのに……。



まるでこの空は、あたしの心のようだ。



……帰ろう。


いつまでもここにいたくない。




あたしは重たい足を引きずって、たったひとつしかない、屋上の出入り口を抜ける。





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