chapter:くもりぞら。 かくいうあたしも、せりあと同じくらい、みんなから可愛いと言われている。 可愛さなら、あたしだって、せりあに負けない自信がある。 だけど、容姿以外では、せりあに負ける。 甘え上手で、可愛いせりあには、勝てる気がしない。 せりあといつも一緒にいるおかげで、あたしはよく、せりあと比べられていた。 そして、結論はいつもこう。 せりあが好かれて、あたしは拒否される。 せりあは悪くない。 問題は、甘えることを嫌っているあたしだ。 「……どうすればいいんだろう…」 どうしたら、せりあのように甘えられるようになるんだろう。 どうやったら、彼氏に振られなくなるんだろう。 また拒絶されたと実感すれば、鼻の奥が、ツンとする。 目頭も熱くなって、視界がぐにゃって歪む。 だけど、泣きたくない。 自分勝手な達也に振られて泣くなんて、あたしのプライドが許さない。 だからあたしは、涙を地面に落とさないよう、空を見上げた。 そうして見えるのは、グレーの分厚い雲ばかりだ。 今朝は雲ひとつなく、青空が広がっていたのに……。 まるでこの空は、あたしの心のようだ。 ……帰ろう。 いつまでもここにいたくない。 あたしは重たい足を引きずって、たったひとつしかない、屋上の出入り口を抜ける。 |