chapter:人魚姫~深海の底で 案の定、フランは自責の念を抱いていた。 「フラン、自分を責めずともいい。俺を助けるためにしたことだ」 あの時、フランのことで頭に血が上っていた。 奴らの息の根を止めたその後、俺の身がどうなるのかということを考えてさえいなかった。 フランがいてくれたからこそ、人間を殺さずにすんだ。 こうして、罰せられることなく生きていられる。 感謝こそすれ、フランを責めるなど誰ができるだろうか。 そういう気持ちを込めて、フランの目尻に溜まる涙を親指で拭ってやる。 すると、フランはふたたび口をひらいた。 「僕、僕は……貴方のことが、好きなのに……。 サメから助けてくれたクライドに一目惚れして……クライドに近づきたくて、やっと同じ大人になれたのに、それでも子供扱いされて……。 イラってしたら、後先考えずに人間の世界に行って、捕まって……。 その結果、大切なクライドを傷つけてしまった……ごめんなさい。ごめんなさいっ!」 しゃくりを上げながら、必死に謝るフラン。 「フラン?」 お前は何を言っているんだ? それは思いもよらない、俺にとってあり得ない言葉だ。 だからおそらくは何かの聞き間違いだろう。 ならば、フランはいったい何を言ったのだろうか。 フランを見つめると、目から大粒の涙が一粒落ちた。 やがて目映いほどの光を放ち、輝く。 そして、それは……。 |