*恋色童話集*




chapter:人魚姫~深海の底で




純白の真珠へと変化した。




「真珠。まさか、フラン?」



俺に、恋をしてくれているのか?




「お願い、僕を邪険にしないで、傍にいさせて。この傷を介抱させて。お願いだから……」

そう懇願するフランの眉尻が垂れ下がっている。


目からはまた、涙がこぼれ落ちる。

その、どの涙も、大小さまざまな美しい真珠へと変化する。


「フラン……」


彼女が言ったとおり、俺とフランは両想いだったのか……。

実感すると、胸の奥がじんわりとあたたかくなった。


こんな気持ちは生まれて初めてで、戸惑いを感じる。


だが、感じているその戸惑い以上に、フランが愛おしい。



「…………ん」

気がつけば、フランの頬に触れていた手は彼の後頭部へと移動し、自分の方へと引き寄せていた。


俺とフランの唇が交わる。



「異形の俺でもいいのなら……。愛している、フラン」

赤い唇を目の前にしてそう言うと、フランの頬はいつも以上に赤く染まる。


「クライド。あのね、クライド。貴方は異形じゃないよ、だってクライドはすごく綺麗だもん。愛してる」


今度はフランから、俺にキスをする。


何度も、何度も……。



――その日から、フランは俺の傷が完治した後も傍で寄り添うように共に暮らしている。

そして、フランを人間の手から助けた俺の噂はいつの間にか広がり、人魚たちからは英雄と呼ばれるようになった。





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