*恋色童話集*




chapter:とある、うさぎくんの恋愛事情。





「やっ、やだよっ、狐くんっ!!」

「そのわりには、俺に触られて勃ち上がってきてるじゃん? 気持ちが良いんだろ?」

イヤイヤと首を振って抵抗する僕に、狐くんは囁(ささや)きかけてくる。


骨張った大きな手で僕自身を包み込み、揉みはじめる。


「っあっ、やめてっ!」

ジュク、ジュク……。


狐くんの手の動きに合わせて、僕自身から水音が放たれる。


僕、感じてるんだ。

でも、こんなのおかしい。

間違ってるよっ!


「狐くんっ、いやっ、やだよっ」

「そう言いながら、大きくなってきてるぜ? 生地も濡れてきたし?」

ケタケタと顔を歪めて笑うのは、本当に僕が好きな狐くんだろうか。


「あっ、っひ、いやああっ!!」


こんなこと、望んでないのに!!

イきたくないよっ!!


目から溢れる涙は、快楽なのか、それとも狐くんに弄ばれているからなのか、もうよくわからない。

「っひ、っふぇ……」

嗚咽も一緒に飛び出しはじめる。

もうイってしまう。

そう思った時だった。


「やめろよっ! いやがってるだろっ?」

頭上から、狼くんの声がした。

同時に、僕の上に被さっていた狐くんの身体が離れる。



「……っつ!!」

狐くんは唇を噛みしめ、僕に目もくれないで、走り去っていった。


なんで……こうなってしまったんだろう。





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